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2015年9月 4日 (金)

SSCの公開講座に行ってきました

今日は、京都府スーパーサポートセンター(SSC)で公開講座があったので、行ってきました。

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ちなみに「スーパーサポートセンター」というのは、府の中でも特別支援教育の研修・教育拠点となる場所です(その他、専門スタッフによる相談支援などもされています)。特別支援教育について必要な情報を発信していくのも、SSCの重要な役割と言えます。

ふだんは教職員向けの講座を多くされていますが、今回の公開講座は保護者向け。タイトルは「安心していきいきと送る学校生活のために~『京都府いきいき条例』と合理的配慮」です。

あまり話題になっていないのが残念ですが、京都府では『京都府障害のある人もない人も共に安心していきいきと暮らしやすい社会づくり条例(通称:いきいき条例)』というものを策定しました。4月からすでに施行されています(詳しくはこちらなど参照してください)。

まず、はじめに少し予備知識を。「いきいき条例」は2012年3月に検討がはじめられましたが、当時、いくつかの他府県で「差別禁止条例」と総称されるものが制定されていました。

当時は、障害者に関する国内の法律が国際水準に追いついておらず、「差別」的な状況があったため、国際的な「障害者権利条約」を批准できない状況でした。要するに、日本が世界におくれをとっている中で、国よりも先に地方自治体が差別を禁止する条例を作ろうとしたのです。

その後、国は2013年に「障害者差別解消法」を制定して、障害者権利条約を批准しました。そのため、府の「いきいき条例」と国の「差別解消法」を併せて見ていくのがよいと思います。

いずれも重要なポイントとして掲げているのが「合理的配慮」です

すごく簡単に言ってしまえば、これまでは「差別」と言うと「排除されること」と近い意味でした。「他のみんなに認められることが、障害者にだけ認められないのは差別だ」と言えば、だいたい同意されるのではないでしょうか。

でも、たとえば「みんなと同じ教室にいていいけれど、みんなに迷惑をかけるな(それができないなら、出て行ってね)」とか「みんなと同じ職場にいるならば、みんなと同じだけの能力がなければいけない(無理なら辞めてね)」とか言われたらどうでしょう。

つまり、「みんなといっしょ」を認めてもらうだけでは、ダメなのです。そこでひとりひとりにとって必要な「支援」が得られなければ、意味がありません。ここで必要な支援のことを「合理的配慮」と呼びます。

これがなぜ画期的かと言うと、「みんなといっしょにいられるために必要な支援」を用意しなければ、それは「差別」だ、と告発できるからです。これは大きな「転換点」だと思います。ところが、あまり話題になることなく、ニュースで取り上げられたりもしていません。かなり残念です。

ようやく本題ですが、講座としてはかなり「無難」なものでした。「いきいき条例」も「差別解消法」も行政には「合理的配慮」の提供が義務づけられています。合理的配慮の重要性を強調すればするほど、行政(学校も含みます)に求められるものは高まるわけですから、仕方がない部分もあるでしょう。

学校現場において、十分な「合理的配慮」を保証しようとすれば、教員の専門性、施設設備、財源など多くの条件を整えていかねばなりません。条例や法律は「過重でない負担」の範囲で合理的配慮を提供せよ、と言っています。「では、どこからが『過重」なの?」という疑問がふつふつと湧いてきます。「学校にどこまでを求めていいの?」と。

講座としては、そうした疑問に親と先生の「対話」が重要である、という結論で応じていました。ただ、ここから私見ですが、「対話」はこれまでもたくさんなされてきたのだろうと思います。「対話」で行き詰っているからこそ、「合理的配慮」を学校に理解してほしい、という保護者は多いのではないでしょうか。

その点で、具体的な提言として賛同したいと思えたのは、26年度にSSCがまとめた研究報告による「『個別の指導計画』や『教育支援計画』『移行支援シート』に行うべき合理的配慮を明記し、引き継ぐことが重要」という指摘です。

特別支援学校と比べると、まだまだ地域の小中学校では子どもの教育について各種の「計画」を通じて親と先生が合意形成していく、という習慣が育っていない、と思います。そして、一定の期間ごとに「計画」の達成度を評価する、という習慣もありません。圧倒的多数の「健常児・定型発達児」への教育プロセスが基礎になっています。

不登校児についても「教育支援計画」を立てていこう、という動きがあります(参照)。多様な子どもたちひとりひとりを大事にしようと思えば、学校という場は「学力」について先生が子どもを一方的に評価するだけでは終われません。先生をはじめとする大人たちがどのように子どもを支えていくのか、を計画して、その結果を皆で評価する(そして、再計画する)過程を確立していくところに行き着くのは自然なことです。

「合理的配慮」の考え方が、特別支援教育を前進させていくのに大きなきっかけとなることを強く望みます。ちなみに、SSCの先生に聞いたところ、相楽郡で学校教員向けの研修は行われたようですが、すべての教員が出席したわけではないだろう、とのことでした。みんなで「転換点」を生み出していきたいですね。

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