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2016年1月14日 (木)

大和高田にて

さる1月10日(日)、大和高田市にある奈良県産業会館にて講演会があったので、職員1名が受講してきました。主催は奈良県の障害福祉課です。

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講師は井上雅彦さんでタイトルが「事例から学ぶ支援~就学前の子どもたちへ~」。井上さんは応用行動分析の第一人者です。午後からはペアレントメンターの研修もされたようなのですが、そちらは定員いっぱいで受けられませんでした。

講演の前に、奈良県の「障害のある人もない人もともに暮らしやすい社会づくり条例」の説明がありました。障害者差別解消法の施行を前に全国各地で「差別禁止条例」づくりが進められており、京都府ではすでに施行されていますが、奈良県では差別解消法と条例が同時にスタートするようです。

差別解消法が民間の事業者に対して差別の解消を「努力義務」としているところを、奈良県の条例は完全に「義務」としているらしく、少し驚きました。今後、ガイドラインが出てくるようなので、動向に注目しておきたいと思います。

さて、肝心の講座のほうは、期待していた行動分析のお話がほとんどなく、乳幼児期から学齢期にかけての親子支援に求められるものをライフステージごとに説明するような内容でした(保育士や幼稚園の先生に向けて話すことを特に意識されていたのかもしれません)。

研究も実践もされている方なので、具体的な事例だけではなく、学問的な研究成果から引用されてお話をされることも多くありました。親にとって「専門機関よりも親仲間の存在のほうが助けになった」という調査結果が紹介され、親どうしのつながりの価値を改めて感じるとともに、専門機関・専門職と呼ばれる人たちが十分に寄り添えていないということかもしれないと考えさせられました。

いま注目の「合理的配慮」についても説明がありましたが、話がすぐに「ユニバーサルデザイン」へとつながっていったのが印象に残っています。「この子にだけ特に必要な支援」よりも「その場にいるみんなにとって役立つこと」から求めていくほうがスムーズではあるのでしょう。最近、「合理的配慮」と「ユニバーサルデザイン」がセットで説明されることが増えてきました。なかなか変わらぬ現場をちょっとでも変えていくための戦略的な背景があるのかもしれません。

結局は、井上先生が最後にまとめられた「多様性を受けいれられる柔軟な文化と社会」に尽きるのだと思います。そこを目指して、私たちも一歩ずつ頑張ります。

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